鍼をやめると元に戻るのか?

鍼をやめると元に戻るのか?

もともとは高血圧や頭痛を主訴に来院されていた患者さん。

半年ほど週1~2回のペースで通っていただき、血圧も頭痛も状態は安定していました。

転居を機にしばらく治療に来られていませんでしたが、また血圧が上がり頭痛も出てきたということで、久しぶりに来院されました。

通い続けないと再発するの?

「先生、やっぱり治療に来ないと症状は再発するんですね。ずっと通いつづけなければいけませんか?」

という質問を受けました。

「いえいえ、そんなことはありませんよ。まだ中途半端な段階で治療間隔が空いてしまったので再発してしまっただけです。しっかりと治し切ってしまえば再発しにくい身体になりますよ。

まずは血圧が下がり、頭痛が消えるまではなるべく詰めて週1~2回のペースで通って下さい。その後はその状態が安定するまで週1回のペースで通って下さい。

ほんとうに身体の状態がよくなれば、月に1回くらいのペースでメンテナンスを行えば、再発せずに今後の人生を過ごすこともできますので、そこまでがんばって持っていきましょう。」

このようにお伝えしました。

生きている限り、病気になる可能性は消えない

人は生きている限り、常に何らかの病になる可能性があります。

まったく何もせず再発しない、ということは難しいのが現実です。

しかし、何が原因で、どのようなメカニズムで病が起きているのかを明確に把握しておけば、再発しにくくするための養生法をお伝えすることができますし、定期的にメンテナンスをすることにより、再発を防ぐことができます。

よく患者さんにお伝えしている例えですが、ここに来たはじめのうちは、ご自身の身体はゴミ屋敷になっていると思って下さい。

たくさんのゴミで身体の中があふれているので、まずは集中してゴミを片付けることを優先します。

ある程度片付いたら、次は日常のゴミを定期的に出していき、ゴミが溜まらない習慣をつけましょう。

この状態が安定すると、徐々に家の中にゴミが溜まらなくなってきます。

あとは、どうしても大きな環境の変化や、強いストレスや、一時的な不摂生などがあればまたゴミが溜まることもあるでしょう。

そういったときには、また時々治療にきていただければ、はじめの頃のようなゴミ屋敷に戻っていない限り、それほど労力をかけることなくキレイに治すことができます。

こういった流れを踏まえれば、もう大きな病に悩まされることはなくなります。

結論

鍼をやめると元に戻るのか?という最初の問いに戻りますが、中途半端な段階で鍼治療をやめ、養生も守らず、元の生活に戻れば症状は再発します。

しかし、しっかりとキレイな状態になるまで調整しておきさえすれば、治療間隔を空けたり、もしくはいったん治療を終了したとしても、養生を守りながら生活していただければ再発の可能性は低くなります。

養生しながら月に1回程度でよいのでメンテナンスにきてもらったり、年に数回でよいので疲れがたまった時だけ疲れを取りにきていただければ、再発の可能性は更に低くなります。

年齢を重ねれば重ねるほど、身体は徐々に衰えていきます。これはみんな平等に訪れることです。。

しっかりと自分の身体を大事にし、メンテナンスしながらお付き合いしていきましょう。

 

 

 

筆者プロフィール

原元氣 - Hara Genki -

輝鍼灸院 院長 / (一社) 北辰会 正講師 運営会議議長 / 森ノ宮医療学園 非常勤講師

2004年、北辰会創始者(現会長)である藤本蓮風先生に師事。内弟子生活を経て2008年に独立し、神戸市にて輝鍼灸院を開院。臨床の傍ら北辰会の正講師・運営会議長として会の運営および後進の指導に携わり、北辰会方式の啓蒙活動を行っている。日本では伝統鍼灸の真の価値が認知されておらず、美容鍼灸や現代鍼灸が主流となっている現状を覆すため、ブログや日々の臨床を通じて伝統鍼灸を広める活動をしている。

輝鍼灸院