便秘

日本の鍼灸院の多くが現代医学的な考えに基づく鍼灸を行っており、伝統的な考えに基づく東洋医学の鍼灸を行っている鍼灸院はごくわずかなです。

便秘に関して西洋医学的な解説をしている動画は多いと思いますが、実際に17年間伝統的な鍼灸だけを専門にしている私が、東洋医学的に便秘の原因とメカニズムをわかりやすく解説したいと思います。

・便秘に悩まれている方も多い。
・便秘に効くツボなんてものはありません。
・中医学では大きく4つに分類しています。
・4つのタイプとそれぞれの原因を解説します。
・原因がわかれば、それぞれに適した施術と養生をすればよい。

① 熱秘
原因
もともと陽が盛んな体質。暑がり、汗かき
飲酒が多く、辛いもの、味の濃いものを好む。
風邪をひいて発熱したあとに、その熱が体内に残っている。
発汗が多すぎて腸が潤いをなくしている。
これらが原因となり、大便が乾燥して固まり、排出困難となっている。

大便の水分がなくなって硬い。
尿量が少なく濃い、顔色が赤い、身体が発熱する。
腹部の張りや痛み。
口の乾燥、口臭、舌質紅、舌苔黄・乾燥。

 

② 気秘
精神的なストレス(悩み事・心配事)で感情がのびやかでなくなる。
長時間座ることが多く運動不足。
気が滞ることにより便が出なくなる。

げっぷ、胸脇部の痞え、腹部の脹痛、便意はあっても排便できない

 

③ 虚秘
過労・病後・産後・高齢などで身体が弱る。
気虚や血虚、となり、さらに酷くなると腎虚。
腎の陰陽が虚す。
腎陰虚は潤いをなくし、腎陽虚も津液を蒸発・気化させ腸道を温め潤すことができない。
腎は二陰に開竅する。便秘と腎は関連が深い。排尿障害も関連。
=高齢者は便秘が多い。

便意があり、トイレにいってもいきめない。
汗ばかりが出て息切れを起こす。
大便はそれほど硬くもなく、乾いてもいない。

 

④ 冷秘
陽虚で身体が弱ったり、高齢でからだが衰えると陰寒が体内で生じ、胃腸に留まる。
陰が凝集し固まるために陽気が通じなくなり、津液も流れず便秘となる。

尿が薄く透明で量が多い、手足が冷えて温めることを好む
排便に苦労する、排出が困難。

このように、便秘といっても、いろんなタイプがあり、それぞれに複数の原因があります。だから、「便秘にはこのツボを押せばいい」なんていうのは、おかしな話ということになります。逆にいえば、ツボを使って治さなくても、これらの原因を見極めて然るべき養生を守れば、鍼をしなくても改善することもあります。

ここまで4つのタイプを解説してきましたが、基本的に原因は①飲食の不摂生(特に味の濃いもの、辛いものなどの刺激物)、②精神的ストレス、③運動不足、④身体の弱りに限局されてきます。

ですから、自分でできる養生としては、まずは①食事に気をつけること、②運動をすること、③ストレスを抱えないこと、④しっかり睡眠や休養を取ることなどになってきます。
うちの患者さんには、それぞれに該当する養生をお伝えしていますが、こういった養生を守っていただくことで、より鍼の効果が高まります。

また、うちの場合は、これらのタイプ別に便秘を見極め、そのタイプにあったツボの中から更に厳選し、より効果的なツボを見つけ出すことによってツボの効果を最大限に引き出しています。それでも、しっかり養生を守らないと効果を出すことは難しくなります。治療と養生は両輪です。

もし便秘にお困りで鍼灸院を探しておられる場合、詳しく問診して、脈を診て、舌を診て、身体中のツボを詳しく診て、このようにタイプ別に見極めたうえで最適なツボをなるべく少数見つけ出してくれる鍼灸院を選んでみて下さい。

輝鍼灸院