互いに歩み寄り、皮膚が鍼を受け入れる刺入法。

当院の鍼の刺し方は、一般の鍼灸院とは一味違います。

多くの鍼灸院では、管鍼法(かんしんほう)といって、管の中に鍼を入れ、少し出ている部分を指で叩打し、勢いで鍼を刺入します。

しかし、これでは少し侵襲的というか、生体にとってはやや受け身の刺入法となります。

また、皮膚の表面には衛気(えき)と呼ばれる気が流れているのですが、その衛気を無視して一気に皮膚の中に鍼を刺入してしまうので、「気を動かす」という意味では限定的な刺入法となってしまいます。

言い換えれば、鍼の効果を最大限に生かす刺入法ではないということです。

当院の鍼の刺し方は、「撓入鍼法(とうにゅうしんぽう)」といって、私の所属する北辰会独特の刺入法となります。

これは、鍼を皮膚に接触させる際に鍼先を皮膚に引っ掛けるようにして撓らせ、その撓った鍼が元に戻ろうとする力と、鍼を持っていない方の手で作った一定の緊張状態にある皮膚が元に戻ろうとする力をお互いに利用し、特に皮膚の方から鍼を受け入れるように刺さる刺入法となっています。

お互いが歩み寄るように刺さるのですが、特にどちらかといえば皮膚の方から鍼を迎え入れるように刺さります。

鍼を刺す方(私)からすれば、患者さんの身体(皮膚・ツボ)に対して、「どんなもんですか?」と伺いを立てつつ鍼を向け、その問いに対して患者さんの身体(皮膚・ツボ)が「こんな感じがええんちゃいまっか?」と返事をしつつ受け入れてくれる。

そんなイメージです。

この鍼を刺すときにコミュニケーションをしている感じが好きですね。

皆さんにも、この鍼とツボの会話を感じてもらいつつ鍼を受けていただけると、さらに鍼の味わいが変ってくるのではないかと思います。

輝鍼灸院