鍼灸受療率5.7%という現実について

今朝、患者さんからある相談を受けました。

「ここで鍼灸を受けて鍼は素晴らしいと思ったので、周囲の知人に勧めているのですが、多くの方は西洋医学一辺倒で、なかなか鍼灸の理解を得られないのがもどかしくて。」

まずはこのように言っていただけて、ほんとうにありがたく思います。

当院はネットを検索してこられる患者さんは3割ほど、残りの7割は紹介で来られる、多くの方のご紹介で成り立っている鍼灸院です。

あらためてご紹介して下さる皆さん、いつもほんとうにありがとうございます。

 

しかしながら、日本国内における現状を見渡してみると、実は国民の鍼灸受療率は5.7%というデータがあります。

何か病気や症状でお悩みの方は、まず西洋医学の病院に行かれるでしょう。

そこでもなかなか症状が改善しない場合、多くの方は次の選択肢として整体院や整骨院を選ばれるようです。

整体院の場合は手技がメインとなりますし、整骨院は保険診療を受けることができます。

それらの魅力が鍼灸院よりも優先される要因なのでしょう。

保険も効かず、しかも「鍼を身体に刺す」という治療法は、「痛い、怖い」というイメージを伴うので、最後の選択肢となる理由もわからなくはありません。

 

けれでも、私は鍼灸院が選ばれない理由はそこにはないと思っています。

「治せる鍼灸院が圧倒的に少ない。」

これが一番の問題です。

 

そもそも多くの鍼灸師が、鍼灸で病気や症状を治せると思っていません。

・マッサージでは届かない凝りに届かせるのが鍼である。

・顔に鍼を刺して血行を良くして、美容にも効果がある。

・ツボに鍼をすれば自律神経が整う。

このような認識でしかありません。

これでは治せるものも治せません。

 

2千年以上も前から、歴代の医家が残した古典や文献に基づき、気一元・太極陰陽論・陰陽五行論・天人合一思想、これらの優れた思想哲学をもとに育まれた伝統医学があるにも関わらず、これを学び実践しようとしないのです。

せっかくの優れた医学であっても、それを学び、そして実践しなければ治せるわけがありません。

本来の伝統鍼灸医学の力を発揮さえすれば、整体院や整骨院に負ける要素などないのに。

 

少しでもこういった流れに逆らうためにも、私はご縁のあった患者さんに全力で向き合い、一人でも多くの病や症状で悩んでおられる方のために力を注いでいます。

そこで結果を出せば、効果を実感された患者さんは、ご自身に縁のある方を紹介してくださいます。

その患者さんを全力で治療し、治すことができれば、またその患者さんは別の患者さんを紹介してくださいます。

当院はその繰り返しで、多くの患者さんに支持される鍼灸院になりました。

 

それだけでなく、これまで多くのスタッフを雇用し、育成し、今ではそれぞれが独立開業し、嬉しい報告をしてくれます。

彼らもまた、自身の臨床で多くの患者さんのために全力を尽くし、伝統鍼灸の素晴らしさを広めてくれれると信じています。

 

私は100歳まで生きて、死ぬ寸前まで鍼をしようと決めています。

その時までに「日本の鍼灸といえば北辰会方式」となるように、そして多くの皆さんが何か病や症状でお悩みの時には、何よりも鍼灸を選択していただけるよう、できる限りのことをやっていくことをあらためて決意しました。

輝鍼灸院