1本の鍼の効果を検証する。

当院に通われている患者さんはご存知の通り、当院では鍼を1本しか打ちません。

まれに2本使う場合もありますが、ほんとうにレアケースです。

これにはいくつかの意味があるのですが、その中の一つが「1本の鍼がどのように効いたのか?ほんとうに効いたのか?」を確認し、しっかりと検証するためです。

驚かれるかもしれませんが、身体がほんとうに必要としている最適なツボを見つけ出すことができ、そのツボに最適な鍼を打てば、たった1本でも劇的に身体は変わります。

その場で症状を変化させる必要はない

身体が変るというのは、1本で症状が一気に消え去るという意味ではなく、ツボや脈・舌などの所見が大きく変わるという意味です。

たとえば鍼を打ったあとに、脈も舌もツボも変化がなければ、その鍼は効いていない可能性が高くなります。

鍼を打ったあとに、その場で症状が変らなくても、脈・舌・ツボなどの所見に良好な変化があれば、それは鍼が効いている証拠です。

その場で変化がなくても、「これは効いていますよ」と自信をもってお伝えすることができます。

よくインスタなどで、その場で肩が上がるようになった!首が回るようになった!腰が曲がるようになった!という派手な動画を見かけますが、あれは鍼の本質ではありません。

その場で症状が変らなくても、脈・舌・ツボなどに良好な変化があれば、その治療を継続さえすれば徐々に治っていくのです。

症状の変化ばかりを追いかけていては、治るものも治りません。

効果の不明な鍼を打ちたくない

また1本の鍼の効果を検証するため、当院で治療を受けていただく間は、他の治療(鍼灸・整体・マッサージなど)を受けないでいただくようお願いしています。

西洋医学のお薬などは別です。そのまま服用していただいてもかまいません。

私はこの1本の鍼による治療をもう20年近く続けているので、何本も鍼を打つ方法だと、何がどう効いているのかわからないのですっきりしません。

どのように効いているのかわからない鍼を、どうしても打つ気にはなれないのです。

また何本もの鍼を打つということは、なぜその病や症状が現れているのかを分析できていない証拠でもあります。

そもそも脈や舌を診ず、分析そのものをしていない鍼灸師も大勢います。

鍼灸院を選ぶ際の参考にしていただければ幸いです。

筆者プロフィール

原元氣 - Hara Genki -

輝鍼灸院 院長 / (一社) 北辰会 正講師 運営会議議長 / 森ノ宮医療学園 非常勤講師

2004年、北辰会創始者(現会長)である藤本蓮風先生に師事。内弟子生活を経て2008年に独立し、神戸市にて輝鍼灸院を開院。臨床の傍ら北辰会の正講師・運営会議長として会の運営および後進の指導に携わり、北辰会方式の啓蒙活動を行っている。日本では伝統鍼灸の真の価値が認知されておらず、美容鍼灸や現代鍼灸が主流となっている現状を覆すため、ブログや日々の臨床を通じて伝統鍼灸を広める活動をしている。

輝鍼灸院