集中して治療すべきとき

集中して治療すべきとき

もう10年ほど通ってくださっている患者さん。

はじめの頃は「不安障害(パニック障害)」を主訴に通って下さっていたのですが、徐々に症状が軽快していき、それほど気にならないレベルにまで回復していることもあり、ここ数年は主訴だけでない様々な不調をその都度調整させていただいておりました。

しかし、不安症状がすべて消え去っているわけではなく、何かをきっかけに不安感が発症しています。

主訴以外の体調不良もずいぶん落ち着いてきた中で、やはり主訴である「不安障害」をきれいに治してしまいたいと思われたそうで、どうにかできないかと相談を受けました。

この患者さんの場合、ここ数年は月に2~3回のペースで通院され、その都度その時に気になる体調不良を調えるという治療を繰り返しておりました。

しかし「主訴を徹底的に治す」という目的に切り替えるのであれば、集中して週に2回くらいのペースで通院されることを提案しました。

このペースでどれくらい通う必要があるかは個人差があるのでなんともいえませんが、集中して通うことにより根治できる可能性が十分に高まります。

通院ペースは時と場合によります

当院に通われている患者さんの通院ペースはさまざまです。

初診時など、とにかく早く治したい、治さなければならない症状がある場合は、詰めて通っていただく必要があります。

そういった患者さんには、基本的には最低でも週に2回は通っていただくよう提案します。

どうしても週に1回しか通えないという場合は、少し時間をかけながら治すことを了承いただいた上で治療を進めていきます。

特にひどい症状はなく、体調管理で通われる患者さんも多くおられます。

当院の場合、こういった患者さんの割合がすごく多いのが特徴です。

16年以上続けているので、少しずつ「未病治」としての鍼灸の有効性が浸透してきている証拠だと喜んでおります。

またそういった患者さんは通い方のコツも心得ており、普段は1~2週間に1回のペースで通われていながらも、何か急な症状が現れたときは詰めて通い、その症状が落ち着いたらまた元のペースに戻されます。

ほかにも普段は通院されていないものの、何か症状が現れたときに集中して治療に通われ、その症状を短期間で治してしまえば、またしばらく通われなくなる方もおられます。

集中すべき時は徹底的に、休む時は休む

なんにしてもお伝えしておきたいことは、何か治したい症状がある時は、なるべく詰めて治療に通うこと。

中途半端に通うと治りが悪くなり、慢性化して治療困難になるケースもあります。

中途半端なペースで通うことにより治りが悪くなり、「鍼は効かない」とあきらめてしまうケースもあります。

これはとても勿体ないので、通われて間もない患者さんは注意が必要です。

 

ここ数年多いのが、コロナ後の後遺症を中途半端に放置し、治しにくい状況に陥っている患者さんです。

ですから当院でコロナに罹患されて少しでも後遺症がある患者さんには、その時だけでも詰めて通うように強く勧めています。

症状がなくなり健康を取り戻せば、また治療間隔を空けたり、しばらく通院をお休みすればよいのです。

中途半端はいけません。

やる時はしっかり徹底的にやる。

やりきったら元のペースに戻し、あとは調えておけばいい。

当院に通われる患者さんには、このことをお伝えしておきたいです。

筆者プロフィール

原元氣 - Hara Genki -

輝鍼灸院 院長 / (一社) 北辰会 正講師 運営会議議長 / 森ノ宮医療学園 非常勤講師

2004年、北辰会創始者(現会長)である藤本蓮風先生に師事。内弟子生活を経て2008年に独立し、神戸市にて輝鍼灸院を開院。臨床の傍ら北辰会の正講師・運営会議長として会の運営および後進の指導に携わり、北辰会方式の啓蒙活動を行っている。日本では伝統鍼灸の真の価値が認知されておらず、美容鍼灸や現代鍼灸が主流となっている現状を覆すため、ブログや日々の臨床を通じて伝統鍼灸を広める活動をしている。

輝鍼灸院