【解説】潰瘍性大腸炎は鍼灸で治そう|神戸 輝鍼灸院
痢疾(りしつ):潰瘍性大腸炎、過敏性大腸炎
痢疾
痢疾とは、腹痛・排便回数が増え、便意はあるのに少量で排便後もすっきりとせず、赤や白の膿血便を下すのが特徴の疾病です。現代でいえば潰瘍性大腸炎・クローン病・急慢性細菌性赤痢・アメーバ性腸疾患などの疾病がこの範疇に入ります。
泄瀉
同じような概念に泄瀉があり、両者はともに夏から秋にかけて発症しやすく、胃腸に起こる病変ですが、主に病の位置・深さ・軽重に違いがあります。『景学全書』泄瀉には、「瀉は浅く痢は深い。瀉は軽く痢は重い。瀉は水穀が分別できなくなるもので、中焦に起こる。痢は脂絡の損傷・血の腐敗によるもので、病は下焦にある。」と記載があります。
痢疾と泄瀉の違い
つまり、痢疾とは単なる下痢(泄瀉)よりも病が深く重いものと認識できます。排便時の腹痛に関して、泄瀉の場合は腹鳴と同時にみられることが多く、痢疾の場合は裏急後重と同時にみられ、さらに膿血便を伴います。
痢疾にも複数のタイプがあります。
1.湿熱痢
〔病理〕
飲食の不摂生や不衛生なものを食べることにより湿熱が形成され、腑気がふさがり、気血が凝滞し膿血となる。
〔症状〕
はじめは水様便であり、1~2日後赤白の膿血を下す。裏急後重(便意はあっても便が出ない・あるいは少量しか出ないのに頻回に便意をもよおす)・肛門の灼熱感・尿量減少して赤い。悪寒・発熱・頭痛などの風邪症状を伴う場合もある。
2.疫毒痢
〔病理〕
暑湿、疫毒の邪が胃腸に侵入し、気血が滞り結合し膿血となる。
〔症状〕
発病が急激。腹部の激痛・鮮紫色の膿血を下す・激しい裏急後重(便意はあっても便が出ない・あるいは少量しか出ないのに頻回に便意をもよおす)・高熱・口渇・頭痛・煩躁(胸中に熱感があり気分が落ち着かず、じっとしておれず手足を動かし落ち着かない状態)が現れ、ひどくなると痙攣し昏倒する。
3.寒湿痢
〔病理〕
生ものや冷たいものを食べすぎ、脾胃を損傷して脾虚となり、水湿が停滞し、湿が寒化して気滞血瘀となり寒湿痢となる。
〔症状〕
腹痛拘急(筋肉がひきつれるような腹痛)・赤より白い膿血が多い(もしくは真っ白いゼラチン質の膿血)。裏急後重(便意はあっても便が出ない・あるいは少量しか出ないのに頻回に便意をもよおす)・食べたものの味がわからない・上腹部の痞悶(痞えて苦しい感覚)・頭や身体がおもだるい・口渇はない・小便は澄んで白い。悪寒・発熱・身痛・無汗などの風邪症状を伴うこともある。
4.虚寒痢
〔病理〕
もとともと脾胃が弱い、もしくは弱っているところに寒湿の邪を感受し陽気が損傷されると虚寒痢となる。
〔症状〕
下痢が長い間治らない・水様便を下す・便に白いゼラチン質が混じる・腹痛が続く・お腹を押したり温めたりするのを喜ぶ・食べ物の味がわからない・口渇はない・飲食減少・精神疲労・悪寒などの症状が現れ、脾胃の虚寒である。
罹病期間が長引いて腎に波及し、命門の火が衰退したものは、腰や膝が怠い・四肢逆冷・滑脱などの症状を伴う。
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