不通即痛 不栄即痛
東洋医学には「不通即痛(ふつうそくつう)、不栄即痛(ふえいそくつう)」という考え方があります。
不通即痛
不通即痛とは、何らかの原因で気がうまく流れることができなくなり、気が通じないことによって痛みが生じるという意味です。
イメージするならば交通渋滞です。
原因としては、外部からの影響と内部からの影響があります。
外部からの影響としては、冷え・湿気・暑さ・乾燥・気温差などがあります。
これらを六淫と呼び、風邪・寒邪・湿邪・熱邪・燥邪などがあります。
内部からの影響としては、精神的ストレスや飲食の不摂生などがあります。
これらが原因となり、気滞(きたい)・瘀血(おけつ)・湿痰(しったん)などの病理産物が生まれて気の流れを阻害し、痛みが生じます。
気の不通による痛みの場合は、強く激しい痛みであることが多くなります。
ですから、このタイプの痛みの場合は渋滞を起こしている原因を特定し、その原因を除去してあげればいいわけです。
不栄即痛
不栄即痛とは、何らかの原因で気が不足してしまい、気が足りないがために痛みが生じるという意味です。
気が不足する原因としては、過労・加齢・長期に及ぶ病などがあります。
こういった原因により、気虚(ききょ)・血虚(けっきょ)・陽虚(ようきょ)・陰虚(陰虚)など、身体にとって必要な何かが不足となり、結果的に痛みが生じます。
気の不足による痛みの場合は、あまり激しい痛みではなく、だるさや重さ・しびれなどを伴い、力が入りにくいなどの症状を伴うことが多くなります。
まとめ
上記の通り、痛みといっても様々な原因があり、発症に至るまでの流れもそれぞれ違ってきます。
こういった全体像を把握せず、ただ痛いところに鍼をしたり、伝統的な考えを無視した鍼をしていては、たまたま治ることはあったとしても、それは偶然に過ぎません。
しっかりと論理的に分析し、なるべく早く確実に治すためには、伝統から学ぶほかありません。
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