【解説】アトピー性皮膚炎は鍼灸で治そう|神戸 輝鍼灸院
1.3つの主な原因
アトピー性皮膚炎の主な原因は、
①精神的ストレス
②飲食の不摂生
③母親の胎毒を受け継ぐ
などが挙げられます。
精神的ストレスは熱邪を、飲食の不摂生は湿邪を生み出し、病因はこれら2つの邪気が中心となるので、アトピー性皮膚炎を治療するときは、精神面や飲食の養生が重要となります。
2.3つの邪気
風邪・湿邪・熱邪
上記3つの原因で身体の中に「熱邪・湿邪・風邪」などの邪気が発生し、汗や大小便でうまく排出することができず、皮膚に出てきてしまうのがアトピー性皮膚炎です。
邪気は弱いところを攻める性質があります。もともと体質的に皮膚と関わりの深い「肺の臓」が弱い方は、邪気が皮膚に出やすくなります。
イメージすると、体内に蒸し蒸しと湿気を伴う暑さが生じ、その暑さと湿気が原因で気流が乱れ、風が吹き荒れているような状況です。
ですから、基本的には体内の熱を冷まし、湿気を取り、風を治めるような治療を行っていくことになります。
3.腎の弱り、潤いの不足
病が長期化してしまい、邪気を排出する力が損なわれてしまっている場合は、まずはその力を補う治療を優先させます。
多くの場合、身体のエネルギーの根源である腎の臓が弱ります。
長期に渡り熱にさらされたり、ステロイドの影響もあり、体内の潤いが奪われ乾燥し、皮膚がカサカサと黒ずむようになります。
これを陰虚血燥といいます。
こういった時は、腎の臓の力を補い、体内の潤いを取り戻す治療を行います。
年代ごとの病理
1.乳児期
母親が妊娠中や授乳中に味の濃いもの・油濃いものを偏食すると、体内に「湿熱・血濁・毒熱」といった邪気が発生し、それらの邪気が母乳を通じて子に伝わります。
生まれてすぐにアトピーが発症する赤ちゃんは、このパターンとなります。
2.幼児期
幼少期の身体が整っていない時期に、生魚や味の濃いもの・辛い物などを偏食すると胃腸を弱らせ、胃腸を弱らせると体内の湿気をさばく力が弱まるので体内に湿気を伴う熱が発生し、アトピーが発症します。
3.青年期~成年期
先天的に身体が弱いものが飲食の不摂生などにより胃腸を弱らせ、気血を生み出すことができなくなったり、精神的なストレスが原因となり気血の流れが滞ると、身体の防衛機能が弱り、外邪の侵襲を受けやすくなります。
皮膚が繰り返し外邪の侵襲を受けると陰血(身体を潤してくれるもの)が消耗し、皮膚は潤いをなくし、カサカサと乾燥した状態となります。
年代ごとの弁証
1.胎熱証
幼児期に多く、両頬に紅斑・丘疹・水泡・滲出液(ジュクジュクとした液体)があり、滲出液は乾燥して痂皮(かさぶた)を形成します。痂皮は脱落すると紅いびらん面が露出します。
2.湿熱証
児童期に多く、針頭大の丘疹・小さな水泡が多くみられます。軽く湿り気があり、肘窩・膝窩に多く発症します。痒みが激しく、搔き破ると出血や肌汁を認めることもあります。
3.血燥証
成人期に多く、肘・膝・頸部の皮膚が肥厚し、苔癬化します。境界は不明瞭となり、掻破や摩擦刺激などにより少量の漿液滲出や血痂(血の固まったかさぶた)を生じます。
まとめ
熱を冷まし、潤いを取り戻す
アトピー性皮膚炎と一言にいっても、原因も違えば、病に至るまでのメカニズムも違うし、発症する年代ごとの特徴をとらえ、それぞれの状況や時期に適した治療法を選択する必要があります。
しかし、その中でも重要なのがいかに「熱を冷まし、潤いを取り戻すか!」です。
そのためには冒頭にも述べましたが、原因となる精神的ストレスや飲食の不摂生などをどのように対処するかが重要となります。
普段の養生で、特に睡眠と便通をよくすることが大事なので、そのあたりも患者さんごとに生活習慣を見直すことができるよう、アドバイスさせていただきながら治療を進めてまいります。
痒みのせいで眠れない、集中できない、イライラしてしまう。
これまでそういった患者さんとともにアトピーと向きあい、今ではずいぶん治すことができるようになってきました。
一緒に痒みのない人生を取り戻しましょう。
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