抑え込んだ感情と嗚咽

抑え込んだ感情と嗚咽

鍼灸 嗚咽 治療

10年ほど前に治療させていただいていた患者さんが、久しぶりに来院されました。

今回は仕事が多忙で無理しすぎていたところに精神的なショックが重なり、複数の症状を抱えて来られました。

その中でも特徴的な症状が、朝起きたあとに嗚咽(おえつ)が止まらないというものでした。

疲労やストレスを抱えていることが原因だと診立て、背中にある疲労やストレスを溜め込むツボに鍼をしたところ、治療後にこれまで自分でも気づかなかった抑え込んでいた過去の感情が溢れるように出てきて涙が止まらないといった現象が起きたそうです。

抑え込んでいたというだけあって、本来は向き合いたくない感情だったのでしょう。

はじめのうちはそういった感情が出てくるのが怖いと仰っていましたが、徐々にこの感情は出した方がいいのだと気づき始めたそうです。

何度かこのような現象が続いたあと、主訴の一つである「朝方の嗚咽」という症状が消えました。

鍼をすることによって、心の奥底に抑え込んでいた感情を表面化して追い出すことができ、結果として嗚咽という症状が消えたということです。

こういった現象は、まず現代医学では説明できないでしょう。

しかしながら、東洋医学的な治療を普段から行っていれば、このような現象は日常茶飯事です。

しかも、東洋医学的な解釈であれば、こういった現象も説明可能なのです。

科学が発達したとはいえ、この世の中まだまだわからないことだらけです。

科学で説明できないからといって、それを否定するのは人間の傲慢さの現れです。

感情を開放する鍼

鍼灸 心を開放

生きていると感情を抑え込まなければやっていけない場面が多くあります。

それはある意味では生きるために仕方のないことなのです。

しかしながら、抑え込むにも限界があります。

限界を超えたときに、病となって現れるのです。

鍼にはそういった想いや感情を開放する力があります。

筆者プロフィール

原元氣 - Hara Genki -

輝鍼灸院 院長 / (一社) 北辰会 正講師 運営会議議長 / 森ノ宮医療学園 非常勤講師

2004年、北辰会創始者(現会長)である藤本蓮風先生に師事。内弟子生活を経て2008年に独立し、神戸市にて輝鍼灸院を開院。臨床の傍ら北辰会の正講師・運営会議長として会の運営および後進の指導に携わり、北辰会方式の啓蒙活動を行っている。日本では伝統鍼灸の真の価値が認知されておらず、美容鍼灸や現代鍼灸が主流となっている現状を覆すため、ブログや日々の臨床を通じて伝統鍼灸を広める活動をしている。

輝鍼灸院