本症例は、15年という長期間にわたり、激しい頭痛(こめかみのズキズキ感)や、それに伴うめまい、吐き気、耳鳴り、気分の落ち込みといった多岐にわたる不調に悩まされていた54歳女性の臨床経過です。
病院や他の治療院を巡っても変わらなかった深刻な慢性症状が、当院の東洋医学的なアプローチと「原因の1点に絞る一本鍼」によって、どのように根本から調律されていったのかを詳しくご紹介します。
1. 患者様プロフィールとこれまでの経過
【患者様】
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年代・性別:54歳・女性
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主な症状:こめかみがズキズキと痛む激しい頭痛(発症すると2日ほど寝込む、酷い時は嘔吐を伴う)
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悪化の契機:心身の疲労、天候の変化(低気圧など)
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随伴症状:めまい、目のかすみ、耳鳴り、寝つきの悪さ・中途覚醒(睡眠障害)、食欲低下、気分の落ち込み、尿漏れ、慢性的な首肩こり
【これまでの経過(病歴)】
もともと寒がりで手足が冷えやすい体質でした。30代で2度出産を経験され、二人目の産後から頑固な首肩こりが定着するようになります。
30代後半、育児の忙しさに加えて引っ越し作業が重なり、心身の疲労が極限に達したタイミングで、主訴である激しい頭痛が発症。さらに40代後半の再度の引っ越しを機に頭痛はさらに悪化し、この頃から食欲低下や気分の落ち込み、尿漏れといった自律神経・泌尿器系の不調も併発するようになりました。
50代前半には頭痛発症時に丸2日寝込むほど重症化。当院を訪れる1か月前には、起床時の激しいめまい、目のかすみ、深刻な不眠(寝つきの悪さや夜中に目が覚める中途覚醒)に襲われ、心身ともに限界を迎えた状態でご来院されました。
2. 初診時の問診と東洋医学的見立て(証)
当院では、初診時に約1時間弱の丁寧な対話を設け、症状の歴史だけでなく、患者様の生活背景や体質をじっくりと紐解いていきます。
◆ 中医学的見立て(証)
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【 肝鬱化火(かんうつかか)】
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【 腎虚(じんきょ)】
◆ 病態のロジックと診断理由
もともと非常に頑張り屋さんで真面目な性格であり、ストレスや責任を一人で抱え込みやすい「肝鬱(気の滞り)」の傾向をお持ちでした。
東洋医学において、30代の出産は生命力の源である「腎(じん)」のエネルギーを大きく消耗します。この産後の弱り(腎虚)がベースにある中で、育児や仕事の過労、引っ越しという環境変化のストレスが重なったことで、滞った「気」が激しい熱へと変化する「肝鬱化火(かんうつかか)」を引き起こしました。
コントロールを失った熱が経絡を伝って一気に頭部へと突き上げた結果、こめかみがズキズキ痛む激しい頭痛や吐き気、めまい、耳鳴りとして現れていたのです。また、基礎となる「腎」のエネルギーが枯渇しかけていたため、尿漏れや深い気分の落ち込み、睡眠障害も同時に引き起こされていました。
3. 施術内容と経過
◆ 使用したツボ
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百会(ひゃくえ) 1穴のみ
◆ 選穴の理由
全身に何十本も鍼を刺す手法は、この患者様のように疲れ果てて潤いを失ったお身体には余計な負担(気血の消耗)となります。
頭頂部にある「百会」は、諸陽の会(すべての陽のエネルギーが交わる場所)であり、上昇しすぎた「肝の熱」を優しく鎮め、同時に深く低下した「腎の気」を引き上げて脳と自律神経を穏やかに調律する最高の1点であるため、この穴(けつ)を選び抜きました。
◆ 臨床経過
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初回:施術直後から頭痛の発症なし。「お尻の冷えが少しマシになった気がする」と、骨盤内の気血が巡り始めたサインが見られる。
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2回目:長年苦しんでいた首の痛みが大幅に軽減。頭痛も出ていない。
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3回目:遠出した翌日に頭痛が一時的に出現したものの、これまでと違って痛みが非常に軽く、寝込むことなく過ごすことができた。
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8回目:いつもなら確実に寝込んでいた「台風の接近(気圧の急変動)」があっても、全く頭痛が発症しなかった。
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9回目:万博へお出かけされ、大きな疲労を伴った影響で少し頭痛が出たが、寝込むことはなく軽症の範囲でおさまる。
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15回目:念願の旅行へ。長距離移動や環境の変化があっても、全く頭痛が出ずに心から楽しまれた。
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35回目(現在):日常的な疲労や激しい天候の変化があっても、ほぼ頭痛は出なくなっている。さらに、悩まされていためまい・睡眠障害・吐き気・耳鳴り・気分の落ち込みなどの随伴症状も、すべて大幅に軽減、もしくはきれいに消失した。
初期は週に2回からスタートし、お身体の土台が安定し始めた3カ月目からは週に1回、約1年が経過した現在では「月に1〜2回」の定期的なメンテナンス(お身体の調律)のみで、主訴だけでなく全ての諸症状を発症させることなく、健やかな毎日を維持されています。
4. 院長からの総評
本症例の患者様は、非常に真面目で責任感が強く、知らず知らずのうちに限界を超えて頑張ってしまう素晴らしいお人柄の方でした。それゆえに体内の気の滞りが強くなり、産後のベースの弱り(腎虚)と重なって、頭痛をはじめとする多くのドミノ倒しのような不調に繋がっていました。
幸いなことに、患者様はご来院前に当院のホームページやYouTube動画をじっくりとご覧になっており、当院の「一本鍼」の理念や施術内容をはじめから深く納得・信頼してくださっていました。この強固な信頼関係(ラポール)が初診時から築けていたからこそ、お身体の反応も非常に良く、これほどスムーズで劇的な改善経過をたどることができたと感じています。
頭痛だけでなく、めまい、不眠、気分の落ち込みなど、複数の症状が一度に押し寄せて「私の体はどうなってしまったんだろう」と不安になる患者様はとても多いです。
現代医学ではそれぞれに別々の薬が処方されますが、伝統的な東洋医学に基づく当院の1本鍼は、病の「根っこ(根本原因)」に直接アプローチします。根元の土壌を正せば、そこから枝分かれしていた複数の不調(枝葉の症状)は、今回のように同時に、自然と消え去っていくのです。それを美しく証明してくれた、非常に意義深い症例です。
長年の不調を「もう治らない」と諦める前に、ぜひ一度、あなたのお身体の歴史を私に聞かせてください。
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