東洋医学(中医学)において、更年期に現れるほてり(ホットフラッシュ)、急な汗、イライラ、気分の落ち込み、関節の痛みなどは、加齢や過労によって体内の「潤い(陰液:いんえき)」が減少することが根本原因であると考えます。
身体をクールダウンする潤いが不足すると、体内でコントロールを失った「熱(虚熱:きょねつ)」がのぼせやイライラを引き起こし、同時にエネルギーや血液(気血)の巡りが滞ることで、心身に様々な不調の波が押し寄せます。
当院で行う「1本鍼」は、この不足した潤いを呼び戻し、体内の熱のバランスを真ん中へと調和させる施術ですが、日々の生活の中で患者様ご自身が「潤いを守り、熱を鎮めるセルフコントロール」を行うことも、快適な毎日を取り戻すためにとても大切です。
ここでは、今日から自宅でできる「睡眠・運動・入浴・食事・呼吸」の5つの視点から、更年期の波を穏やかにする東洋医学的な養生法をご紹介します。
1. 【睡眠】「23時前の就寝」が、体内の天然の冷却水を養う
東洋医学では、夜の23時から深夜3時にかけての時間帯は、体内の「陰液(潤い・滋養分)」が最も新しく作られ、蓄えられる時間と考えます。更年期の不調を和らげるための「天然の冷却水」は、この深い夜の睡眠中にしか育ちません。
23時を過ぎて夜更かしをしていると、冷却水が作られないばかりか、寝ている間にお身体をクールダウンできず、夜間の寝汗や不眠、翌朝の強いほてりやイライラに直結してしまいます。
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今日からの養生: 夜の23時前には必ずお布団に入り、部屋を真っ暗にして目を閉じましょう。「眠れなくても、スマホを見ずに横になって目を閉じているだけ」で、体内の潤いは守られ、余分な熱が静かに引いていきます。
2. 【運動】「手ぶらでゆっくり」歩いて、骨盤内の滞りをサラサラに
更年期は、血液の巡りが滞る「瘀血(おけつ)」という状態になりやすく、特にお腹や骨盤のまわりの血流が滞ることで、冷えのぼせや腰痛、気分の落ち込みが強くなります。
これを解消するために歩くことは非常に効果的ですが、息が切れるような激しいエクササイズや、目標を課したストイックなウォーキングは、貴重なエネルギー(気)と潤いを余計に消耗させてしまいます。
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今日からの養生: バッグなどは持たず、できるだけ「手ぶら」の楽な状態で、呼吸が乱れない「ゆっくりとしたペース」で散歩をしましょう。20〜30分程度、外の空気を吸いながらゆったりと歩くことで、骨盤内の血液が優しく巡り始め、胸につかえていたイライラや不安感も自然と足元へ抜けていきます。
3. 【入浴】「39度前後のぬるめのお湯で10分」が、冷えのぼせを正す
半身は暑くて汗が出るのに、足元は冷えるという「冷えのぼせ」は、更年期にとても多いお悩みです。これは体内の「熱」が上へのぼり、「冷え」が下に溜まるという上下のアンバランスが原因です。
お風呂で身体を優しく温めることは、この上下のバランスを真ん中へ戻すために最適ですが、41度以上の熱いお湯は交感神経を刺激し、激しい発汗やのぼせを悪化させてしまいます。
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今日からの養生: 39度前後の「少しぬるいと感じるお湯」に、10分〜15分ほどゆったりと浸かってください。みぞおちから下の半身浴もおすすめです。足元からじわじわと温めることで、上に突き上げていた熱が下へ引き下げられ、手足の先まで均一に血が巡るようになります。
4. 【食事】「体の中を潤す白い食材」を摂り、「辛いもの・アルコール」を控える
更年期の身体は、引き算(潤い不足)と足し算(余分な熱)が同時に起きています。食事もこのバランスを意識することが大切です。
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摂り入れたいもの(潤いを補う食材): 白キクラゲ、豆乳、山芋、豆腐、蓮根、黒胡麻、クコの実など、「身体の潤いを直接補ってくれる食材」を意識して摂りましょう。特に豆乳や山芋は、東洋医学でいう「腎(じん:生殖や若々しさを司る内臓)」のエネルギーを養う最高の薬膳になります。
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控えたいもの(熱を煽る食材): 激辛スパイスや過度なニンニク、チョコレート、そしてアルコールは、体内の貴重な潤いを一瞬で蒸発させ、余分な「熱」を激しく燃え上がらせます。ホットフラッシュや急な発汗が気になる時期は、極力これらを控え、温かく優しい味付けのものを好んで摂るようにしましょう。
5. 【呼吸】「吐く息で、頭の熱を足の裏へ逃がす」イメージ呼吸
イライラが止まらないときや、急に顔がカッと熱くなったとき、私たちの呼吸は浅くなり、気が完全に頭に昇りつめています。
深い呼吸、特に「吐く息」を意識することは、上昇した熱を自分のコントロールで下へと引き下げ、自律神経を真ん中へと調和させる最も即効性のある方法です。
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今日からの養生: 椅子にゆったりと腰掛け、足の裏をしっかり床につけます。鼻から優しく息を吸い、口から細く、長ーーく息を吐き切っていきます。このとき、「吐く息と一緒に、頭にのぼった熱がお腹を通り、足の裏から床へと抜けていく」ようなイメージで行ってください。これを5回ほど繰り返すだけで、のぼせがスッと引き、さざ波のように心が落ち着いていきます。
院長からのメッセージ
更年期に起こる様々な不調は、決してあなたが年齢に負けてしまったわけでも、コントロールができないわけでもありません。 これまで大切な家族のため、お仕事のため、誰かのために心身をフル回転させて頑張り続けてきた結果、お身体の「潤い」の貯金が一時的に少なくなっているだけです。
当院で行う「最初の1時間を丁寧な対話に充てる初診」では、あなたがこれまでどんな歴史を歩み、どのようにエネルギーを重ねてこられたのかを中医学のロジックでじっくりと紐解き、お身体のどこを補えば再び穏やかな波に戻れるのかを突き止めます。
日々の生活の中で、今回ご紹介した5つの養生(生活の調律)を少しずつ取り入れながら、当院の優しい1本鍼で体内のバランスを心地よい真ん中へと戻していきましょう。一人で抱え込まず、どうぞ安心して当院を頼ってください。





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