【症例】33歳、女性「パニック障害(息苦しい、動悸、手の震え)」

当院では数多くのパニック障害の症例があります。

今回は実際の症例をやや専門的になりますが、解説させていただきます。

パニック障害でお悩みの方にとって、参考になれば幸いです。

患者

33歳 女性 販売業 事務職

来院理由

2年前にパニック障害と診断され、服薬による治療を継続しているが完治に至らず、根本的な解決をするためネットで検索し来院。

症状

①常に息苦しい。漠然とした不安感。

②電車など人の多い場所に行くと動悸、手の震え。

・高校生の頃に怖い経験をしたことがあり、そのことがトラウマとなり漠然とした不安感が消えない状況が続いている。

・20代前半で結婚と離婚を経験。この時期にストレスが多く、徐々に慢性的な息苦しさ、胸のつまり感を感じるようになる。

・2年前、職場でストレスがストレスを感じていた時期があった。その年の5月、電車に乗っているときに突然手が震えだし、息苦しくなった。病院でパニック障害と診断された。

・身体を動かしている時は症状が出にくいが、デスクワークなど身体を動かさない状況が続くと発症しやすい。

病因病理

元々の性格(真面目で緊張しやすい)や、過去のトラウマ、職場での精神的ストレスにより肝鬱気滞と心血虚が生じていたところ、電車での緊張状態が引き金で肝気上逆・肝鬱化火内風となり主訴発症。

弁証

本:肝鬱気滞、心血虚

標:肝鬱化火内風

治則治法

疏肝清熱、疏肝降気

選穴

神道 撓入5番鍼 瀉法

治療経過

・9診目までは標治として疏肝清熱、疏肝降気を目的に神道を中心に督脈の経穴を選穴。

・3診目の時点で調子の良さを自覚。

・4診目で息苦しさが消失。月経痛も緩和している。毎日服用していた安定剤も服用していない。

・8診目ではネイルサロンに薬なしで行けたと喜ぶ。

・10診目以降は本治として疏肝理気・養血安神を目的に左心兪に変更。

・その後、何か心配事があったときなど、調子の悪い日もあるが、すぐに立て直すことができるようになる。

・3カ月までは週1~2回の頻度で通院していたが、現在は月に2回程度の頻度で体調を保てている。

考察

病因となる精神的ストレスが現時点ではそれほど強くなかったことから、早期に改善できた症例。

患者さん本人も素直に当院の治療を受け入れてくれ、こちらの提案する治療頻度を守ってくれたことも治療効果に大きく貢献している。

施術者の紹介

輝鍼灸院 院長 / (一社) 北辰会 正講師 運営会議議長 / 森ノ宮医療学園 非常勤講師

2004年、北辰会創始者(現会長)である藤本蓮風先生に師事。内弟子生活を経て2008年に独立し、神戸市にて輝鍼灸院を開院。臨床の傍ら北辰会の正講師・運営会議長として会の運営および後進の指導に携わり、北辰会方式の啓蒙活動を行っている。日本では伝統鍼灸の真の価値が認知されておらず、美容鍼灸や現代鍼灸が主流となっている現状を覆すため、ブログや日々の臨床を通じて伝統鍼灸を広める活動をしている。

輝鍼灸院