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院長ブログ 「世界を癒す一本鍼」

瞑想のすすめ(自らの心を取り戻すために)

考えたくもないのに、過去の過ちを振り返って自己嫌悪に陥ったり、起きてもいない未来の危険を想像して不安になることはありませんか?

当院では精神的な問題でお悩みの患者さんを治療させていただくことが多いので、このような悩みをお持ちの方にはよく出会います。

しかしながら、精神的な病でなくとも多くの方がこのような悩みをお持ちではないでしょうか?

考えようとしているわけではないのに、気づけば自分の意思とは無関係に頭が勝手に暴走していろんなことを考えてしまっているわけです。

この間にも脳はフル回転していますし、休むことはありません。

それだけでなく、自己嫌悪や不安感など、精神にとってもマイナスとなる感情に支配されるので、エネルギーは奪われ続けます。

心神と肝魂

この状況を東洋医学的な視点で見ると、「君主である心神(本来の自分)」が「将軍である肝魂(もう一人の自分)」の暴走をコントロールすることができず、国内が乱れている状況だと認識できます。

本来であれば精神的な活動は、君主である心神がコントロールします。

将軍である肝魂は、君主である心神の命令を受けて体内に気を巡らせ、全身のエネルギーを活性化させるのが役目なのです。

しかし、肝魂が心神の命令を聞かず、気を巡らせることを怠ると、様々な不調が現れます。

肝魂が気を巡らせる働きのことを「疏泄(そせつ)」といいます。

その疏泄が行き過ぎることを「疏泄太過(そせつたいか)」といい、この状態になるとイライラや興奮状態、眠りが浅く、緊張が強くなり、激しい頭痛や眩暈などが起こります。

疏泄がうまくいかず、滞ることを「疏泄不及(そせつふきゅう)」といい、この場合は抑うつ感、無気力感、倦怠感などの症状が現れます。

肝魂をうまくコントロールできなくなると、心と身体すべてにおいて悪影響を及ぼし、体調不良を引き起こすのです。

ではなぜこの将軍である肝魂が君主である心神の命令に背き、暴走してしまうのか?

それは君主である心神が弱ってしまい、力を失っているからです。

心神が弱る理由

心神が弱る理由は様々ですが、もっとも多いのは、そもそも人が心神を調えていないからだと感じています。

というよりも、心神を調えることの重要性を理解していない、心神を調えるということ自体を知らないともいえるでしょう。

特に現代人の心神を乱れさせる原因の一つはスマホです。

心神を休ませる時間を取らず、ゆっくり休んでいる時でさえスマホを触り、目を通じて常に何らかの情報を脳に送りこむ。

これでは心神は休むことができず、疲弊しきってしまいます。

疲弊しきった心神(君主)は、肝魂(将軍)を制御することができなくなり、国内の政治は大きく乱れるわけです。

スマホと瞑想

心神の力を取り戻す方法は2つあります。

1つはスマホを使う時間を減らし、脳への情報量を制限すること。

学ぶことは大事ですが、ただただ情報を流し込むだけでは意味がありません。

なるべくスマホから距離を置き、精神を休ませてあげて下さい。

2つ目は、瞑想をすることです。

瞑想といっても難しく考える必要はありません。

背筋を伸ばして、目は薄めに開き、5分間だけ自分の呼吸に意識を向ける。

まずはこれだけやってみて下さい。

息とは自らの心

息とは自らの心と書きます。

息(呼吸)に意識を向けることで、本来の自身の心に意識を向けることができます。

座禅を組んでも椅子に座ってもどちらでもかまいません。

時間のある時にこれだけやってみて下さい。

瞑想中はなるべく何も考えないようにしますが、どうしてもいろんな考えが浮かんできます。

その時はその考えに執着せず、浮かんできた考えに対して否定も肯定もせず、そのまま受け止めて下さい。

この繰り返しをすることにより、頭の中が整理され、自分自身の心神を取り戻すことができるようになります。

つまり、勝手にに自己嫌悪や不安感が出てくることが少なくなり、出てきたとしてもそれらの感情に執着することなくなるのです。

これを繰り返していくと、どんな時に自分が自分の心を見失い、勝手な自己嫌悪や不安感に陥るのかがわかり、対応しやすくなってきます。

もう一人の自分に心を支配されることなく、自分自身の心を取り戻しましょう。

筆者プロフィール

原元氣 - Hara Genki -

輝鍼灸院 院長 / (一社) 北辰会 正講師 運営会議議長 / 森ノ宮医療学園 非常勤講師

2004年、北辰会創始者(現会長)である藤本蓮風先生に師事。内弟子生活を経て2008年に独立し、神戸市にて輝鍼灸院を開院。臨床の傍ら北辰会の正講師・運営会議長として会の運営および後進の指導に携わり、北辰会方式の啓蒙活動を行っている。日本では伝統鍼灸の真の価値が認知されておらず、美容鍼灸や現代鍼灸が主流となっている現状を覆すため、ブログや日々の臨床を通じて伝統鍼灸を広める活動をしている。

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