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院長ブログ 「世界を癒す一本鍼」

伝統を重んじる理由

何か病気でお悩みの方がいたとして、病院に行っても、近所の整骨院や整体院に行っても治らない。

そんな方が最後に訪れるのが鍼灸院なのだそうです。

ふつうは身体に異常があれば病院に行かれると思いますし、そこで治らなかったとしても、まずは保険の効く整骨院に行ったり、その次に行かれるのは手軽な整体院になるでしょう。

なぜなら鍼灸の場合、身体に鍼を刺すという行為自体に抵抗がある方が多く、どうしようもなくなって選択するのが鍼灸院になるわけです。

伝統的な鍼灸を専門とする鍼灸院はごくわずか

鍼灸院に来られる患者さんの多くは、「鍼灸は伝統的なもの、東洋医学的な考えに基づくもの」という前提で治療を受けられるのではないでしょうか?

しかし、残念ながら伝統的かつ東洋医学的な考えに基づく鍼灸を提供している鍼灸院は数少ないのが現状です。

「伝統的かつ東洋医学的な鍼灸だけを専門的に提供している鍼灸院」ということになると、正確な数字はわかりませんが、おそらく1%にも満たないと思います。

ほとんどの鍼灸院が現代医学的な考えに基づく鍼灸や、美容鍼灸などを行っており、伝統的な鍼灸を行いつつも整体も併用したり、専門的な鍼灸院が少ないのです。

長い歴史の中での積み重ね

現代医学的な考えに基づく鍼灸でも、整体を併用した鍼灸でも、治ることはあるでしょう。

しかし、私が伝統を重んじる理由は、長い歴史の中で先人たちが真剣な思いの中で患者さんを救うために病と対峙し、積み重ねてきた理論や技術があり、その積み重ねを踏まえてこそ今の伝統的な鍼灸が存在しているからです。

そのような積み重ねを無視し、ただただ思い付きの理論であったり、現代医学的な解釈に基づく理論のみをよしとするのは、とても勿体ない話だと思うのです。

またその積み重ねてきた理論や技術を更に深め、進化させ、次の世代に受け継いでいく。その中で、今後これまで治らなかったような病が治るようになっていく。

そういった大きな流れの中の一助となるために、やはり伝統を重んじるという考えが重要になってくると思うのです。

古ければよいというものではない

伝統だからよい、古いものがよい、といった単純な考えではありません。

家族の中でお父さんが一番偉いんだ!女性は家事をして家を守るべきだ!といった家父長制度のように、ただ誰かにとって都合のよい話は伝統とはいえません。

ほんとうに誰かにとって、社会にとって、世界にとって、必要なものなのであれば、重んじる必要があるだろうというお話でした。

筆者プロフィール

原元氣 - Hara Genki -

輝鍼灸院 院長 / (一社) 北辰会 正講師 運営会議議長 / 森ノ宮医療学園 非常勤講師

2004年、北辰会創始者(現会長)である藤本蓮風先生に師事。内弟子生活を経て2008年に独立し、神戸市にて輝鍼灸院を開院。臨床の傍ら北辰会の正講師・運営会議長として会の運営および後進の指導に携わり、北辰会方式の啓蒙活動を行っている。日本では伝統鍼灸の真の価値が認知されておらず、美容鍼灸や現代鍼灸が主流となっている現状を覆すため、ブログや日々の臨床を通じて伝統鍼灸を広める活動をしている。

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