伝統鍼灸解説ブログ

心の病と鍼灸

私が心の病に重点を置く理由

東洋医学の世界に目覚める

私が東洋医学の世界に本格的に足を踏み入れたのは、20代前半にある「うつ病」の患者さんを治せなかったことがきっかけです。

当時は中医学の勉強を始めて間もない頃でした。

友人が「うつ病」になり、私が治療させていただくことになりました。

中医学の専門書通りに弁証し、そこに書いてある通りの経穴(ツボ)に鍼をしても全く効果がありません。

中医学に大いなる希望を見出していた私にとって、非常にショックな出来事でありました。

当時在籍していた中医学研究会の先生に相談しましたが、その先生にも「自分には治せない」と治療を断られました。

師匠との出会い

そんな時出会ったのが今の師匠(北辰会会長:藤本蓮風先生)です。

友人の治療をお願いし、毎週治療に付添い見学させていただきました。

すると、みるみるうちに表情が変わり、症状が消失してゆくのです。

完治までは1年以上かかりましたが、今では私以上に元気で仕事をしております。

その治療に感動し、私は師匠に弟子入りを志願したのです。(今から約20年前の話です。)

鍼を通じて心を通い合わせる

現在、私の治療院にも心を病んでしまった患者さんが多く来院されております。

患者さんの多くは「自分の病は治らないもの」だと信じてしまっています。

ですから、治療はまずその「凝り固まった心」をほぐすことから始まります。

いかに素晴らしい治療でも、心の病を治すのはとても難しいことです。

簡単には治りません。

しかし、薬やカウンセリングでこういった病を治すよりも、鍼を通じて人と人の心を通い合わせることによって治す方がとても自然であるように感じます。

鍼がもっとも必要とされている分野

師匠との出会いをきっかけに東洋医学を学ぶことで、今では多くの心の病を治せるようになりました。

神戸で開業して15年経ちますが、これまでも多くの心の病でお悩みの患者さんの治療に関わらせていただきました。

心の病だけでなく、様々な病の治療をさせていただいてきましたが、実感としては現代社会において、もっとも鍼灸治療が必要とされているのが、この心の病の分野だと感じています。

薬をやめることはできるのか?

当院へ問い合わせをして下さる患者さんの多くは、とにかく薬をやめたいあるいは薬を減らしたいと願っていらっしゃいます。

酷いケースでは10種類以上の薬を服用していらっしゃる方もおられます。

しかし、一度薬を服用し始めるとなかなか手放すことが難しいようです。

西洋医学では「精神安定剤」と呼びますが、私たちは「精神固定剤」と呼びます。

精神を安定させるのではなく、固定させているのです。

ですから精神状態が良くなるというよりも、そのままの状態で固定してしまうのが「精神安定剤」「固定剤」なのです。

またこういった類の薬は副作用も多いのです。

これでは何のために薬を飲んでいるのかわかりません。

しかし、鍼灸なら副作用もなく精神を固定させるのではなく、明るい精神へ、活発な心へ、人間本来の精神状態へと回帰させてくれます。

なぜ鍼で心の病を治すことができるのか?

よく重度のうつ病や自閉症の患者さんが、イルカや犬などの動物と触れ合うことにより症状が緩和されるといった話を聞きますよね。

あれは純粋な魂を持つ動物との魂の交流により、病人の心が癒されていることを意味します。

私たちは鍼灸を医学としてとらえており、患者さんの脈や舌、経穴(ツボ)の状態や症状を通じて病の本質を導き出し、それに対して治療を施します。

ですから、診立てを間違えれば効果を挙げることは出来ません。

しかし、鍼はそういった医学的な一面とともに、「癒し」という一面も持ち合わせております。

鍼を通じて魂の交流、気の交流をはかることにより、人の心は癒されていくことを臨床においてはよく体験することです。

最後に

当院には10年20年と心を患い、薬やカウンセリング、さまざまな民間療法を試したけども効果がなく、苦しんできたという患者さんが多くいらっしゃいます。

世の中にはまだまだそういった苦しみから抜け出せずにもがき続けている方が多くいらっしゃるのだと思います。

私が東洋医学の世界に本格的に足を踏み入れるきっかけになった心の病。

あれから20年。

今でも完全にとは言えませんが、かなりの確率で治すことができることができるようになりました。

私たちのの鍼灸が、心の病でお悩みの方々の一筋の光明になれたらと願ってやみません。

こちらの記事もご参照ください。

パニック障害・不安障害と鍼灸

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