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院長ブログ 「世界を癒す一本鍼」

【解説】副鼻腔炎は鍼灸で治そう

副鼻腔炎 鍼灸

西洋医学的見解

急性副鼻腔炎は上気道炎(ウイルス感染)に続発して副鼻腔に細菌が二次感染して発症することが多くなります。

症状としては膿性鼻汁・鼻閉・後鼻漏などがみられ、治療としては抗菌剤や消炎剤の投与が基本となります。

慢性副鼻腔炎は急性副鼻腔炎を繰り返したり、アレルギー性鼻炎により粘膜の線毛運動障害が起こり、炎症が長期化することによって発症します。

粘性鼻汁・後鼻漏・鼻閉・嗅覚障害などを呈し、治療は抗生剤の投与や外科的に内視鏡下副鼻腔手術などがあります。

中医学的見解

中医学では副鼻腔炎を「鼻淵(びえん)」と呼びます。

淵とは「奥深い」という意味があり、古代からこの病名が使われています。

また脳から漏れ出てきているようなイメージがあることから、脳漏とも呼ばれます。

以下に鼻淵の3つのタイプを紹介します。

①肺経風熱

風邪をきかっけに発症するタイプです。

急性副鼻腔炎は、ここから始まります。

慢性副鼻腔炎の方が風邪をひいた場合も一気に症状が増悪することがありますが、その場合もこのタイプに該当します。

②湿熱内薀

ストレスや過食などにより、体内に湿熱(湿気を伴う熱)がこもり、その湿熱が鼻腔に及び発症するタイプです。

慢性化するとこの状態になり、これが常態化しているときに風邪をひくと、①に挙げたタイプが重なり急性副鼻腔炎となります。

③脾肺気虚

①②を繰り返し、さらに慢性化すると胃腸や肺が弱り、③脾肺気虚となります。

慢性的に嗅覚が減退し、疲労しやすくなり、風邪もひきやすくなります。

実際の治療

急性期には①肺経風熱②湿熱内薀が混在した状態になることが多いので、この2つを解決させるための治療が中心となります。

慢性期・緩解期になると、②湿熱内薀③脾肺気虚が混在した状態になるので、この2つを解決させる治療が中心となります。

また鼻汁の状態によって、湿と熱の比重にも着目しながら治療を進めます。

湿が多ければ鼻漏の量が多くなり、熱が強くなれば鼻漏が少なくなり鼻閉が強くなることが多くなるようです。

難しい表現が多くなってしまいましたので、もう少し簡潔に表現すれば、

「ストレスや過食が続き、体内に湿気を伴う熱がこもりやすい体質の方が、繰り返し風邪をひくことにょり鼻腔に鼻汁が溜まりやすい状態が続き、徐々に肺や胃腸が弱ってしまい、慢性化し再発を繰り返してしまいやすいものが慢性副鼻腔炎」です。

鍼灸院で副鼻腔炎を診ているケースは少ないとは思いますが、当院では以前に副鼻腔炎を治した患者さんがたくさん紹介をしてくださっているお蔭で、意外と多くの症例があります。

西洋医学的な治療で改善が見込めずお困りの方がいれば、一度伝統的な考えに基づく鍼灸、特に中医学的な考えに基づく鍼灸を試してみることをお勧めします。

筆者プロフィール

原元氣 - Hara Genki -

輝鍼灸院 院長 / (一社) 北辰会 正講師 運営会議議長 / 森ノ宮医療学園 非常勤講師

2004年、北辰会創始者(現会長)である藤本蓮風先生に師事。内弟子生活を経て2008年に独立し、神戸市にて輝鍼灸院を開院。臨床の傍ら北辰会の正講師・運営会議長として会の運営および後進の指導に携わり、北辰会方式の啓蒙活動を行っている。日本では伝統鍼灸の真の価値が認知されておらず、美容鍼灸や現代鍼灸が主流となっている現状を覆すため、ブログや日々の臨床を通じて伝統鍼灸を広める活動をしている。

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